今年3月、「杉並区子どもの権利に関する条例」が制定されたことは、杉並・生活者ネットワークの長年にわたる政策提案がついに実現したできごとでしたが、その背景には4年前の2021年、都議会における「東京都こども基本条例」の成立、2022年の「こども基本法」制定があります。
子どもの声を反映するしくみが少しずつ整い、国や自治体の取り組みも動いてきていますが、現実の子どもを取り巻く問題は山積みです。2024年の全国の子どもの自殺は過去最高の529人、東京都内では不登校の小中学生は約3万人、子どもの虐待の相談件数は2万7,000件です。
都内の小中学生の2割近くの世帯が生活困窮しているとされ、子どもの貧困は改善されていません。基本法や条例に掲げられた「子どもの権利を保障する」ということは、社会で子どもを育てる、東京全体で子どもを支えるということです。
親世代への経済的支援はもちろんですが、家庭や学校以外に子どもが過ごす居場所を地域につくること、その取り組みが継続していけるように東京都が財政的支援をしていくことが重要です。
そもそも不登校は、「学校に行けない」子どもの問題というより学校の問題であり、変わるべきは学校のほうです。生活者ネットワークの政策提案により、東京都の「学校の居心地向上の取り組み」が実現し、2025年度は8,000万円の予算が付いたところですが、不登校対策より「学校を変える」教育改革が必要です。
また都内で1,000以上ある子ども食堂の多くは市民がボランティアで支え、経済的に厳しい状況です。歌舞伎町の「トー横」周辺に集まる若者が話題になりますが、渋谷や池袋を含め都心の繁華街に集まる子どもや若者たちの多くは家庭や地域に居場所がなく、そこが居場所になっています。

応援しています、と話しかけられて 阿佐ヶ谷駅南口 4.26