——前回の勧告がきちんと守られていません。差別をなくすこと、学校での競争をゆるめ、いじめなど学校内の暴力を少なくすることがあい変わらずできていません。
と指摘されています。
また、この勧告の最大の特徴が「全体として『権利基盤型アプローチ』の必要性が強調されている」こと、というのは前回書きましたが、これも先ほどの「CF版」を引用して言い換えると
——子どもの権利条約の内容にあわせて、日本の法律を改めて全部見直し、とくに「子どもの権利を中心にしなければならない」という考え方を守るように。
といった趣旨です。
たしかに、日本の法律、あらゆる政策、日本で起きているさまざまな事象を「子どもの権利」に照らして見直す、ということをこれまでごく一部の専門家を除いてはやろうともしていません。
佐世保の小学同級生殺傷事件や新宿区で中学生少女が男児をマンションから突き落とした事件など、子どもが事件をおこすたびに、「インターネット使用規制を」「心の教育の強化を」などの対応策の必要が言われますが、対症療法的な安全対策にすぎません。暴力や問題行動を子ども自身が踏みとどまることができるようにエンパワーし、子どもが安心して成長できるような環境をおとなは作らなければいけないはずです。
「子どもの権利」の視点からその事件の背景や本質をとらえなおし分析する、そして解決策を政策化する、という手法がもっととられてよいのではないでしょうか。佐世保の事件直後の政府要人による「だから教育基本法改正が必要だ」という発言には「また問題点のすり替えか」という思いがぬぐえません。
平野さんが共同代表をつとめる「杉並に子どもの人権を守るしくみをつくる会」が主催する連続学習会、「国連子どもの権利委員会の勧告を生かそう」が7月から始まりました。来年3月まで、月1回、夜の開催で講師はもちろん平野裕二さん。非常に濃い内容です。関心のある方は以下にお問い合わせください(山内 Tel /Fax:03−3395−2695)。
* http://homepage2.nifty.com/childrights/reports/crc/co2_cfv.htm