地下水の不思議に触れたい①

善福寺井戸巡礼の道すがら「水と樹」語る人々多し

10月10日はなぜか晴天になる確率が異常に高い「特異日」ですが、今年は曇り空、ときおり霧雨が舞う天候でした。でもそれが私たち井戸調査隊にとっては好都合。井戸から井戸を巡る戸外活動では夏のように暑いのは困るなあと思っていたので、この日の外気温20度くらいがちょうどよい具合だったわけです。

「善福寺まちづくりの会」は外環の建設問題を考えることからスタートしましたが、学習を重ねるなかで、善福寺地域のみどり豊かな自然環境を保全するには地下水脈のようすを捉えることが大事だと気づきました。そのために井戸を調べようということになり、春から準備をしてきたことは以前にも書きました。(右の欄のバックナンバー『善福寺再発見 まち歩きと昔話の会』にいらっしゃいませんか)

善福寺3丁目にある桃井第4小学校を中心に、東西1.5km、南北2kmのエリア内にあって井戸を持ち、あらかじめ協力の承諾を得られたお宅を訪ねて水位と水質を調べる。これだけのことなのですが、なかには数百年も前に掘られた井戸もあり、地中深くから湧き出る水の不思議さ、自然が生み出すものの面白さに魅せられてしまいます。(写真中央)

今回の調査は、杉並区の東南エリアで昨年から継続して地下水の調査を行なっている市民グループと慶應義塾大学研究室にアドバイスや水質分析の協力をいただけることで、可能になりました。その市民グループ「すぎなみみずみち調査会」の小原二三(ふみ)さんは、この日私たちに同行して、あとで感想の短歌16首がファックスで送られてきました。

題は「井戸巡礼天と人とに感謝して」。
そう。ほんとうに「巡礼」と呼びたくなるような、天(自然)にも人にも感謝したくなるような、初秋の旅。
このページのサブタイトル「善福寺井戸巡礼の道すがら・・・」に始まる小原さん作の数首を紹介します。

●大き樹を背に持つ井戸は絵となりて 感嘆つきず合掌をして
●耳当てて水吸い上ぐる樹の音を 教えてくれし人に亦会う
●ふかみどり繁れる庭の井戸訪えば 蚊とり線香たきくるひとよ
●枯れ井戸とあきらめいたる翁来て 一米の水位ほほえむ