ゼミ生のメンバーに、かつて学校でいじめを受けた経験のある人や、小中学生の課外活動にボランティアとして関わっている人がいたことから、「地域の学校がどんなだったいいか」という話題になりました。それなら、杉並区が「教育立区」を掲げ教育改革を進めようとしているおりでもあるので、議会質問にして提案してみよう、ということになったわけです。
どんな学校なのかひとことで言うと、午前中は従来の読み書きそろばんに代表される「基礎基本学習」、午後は生活体験を重視して地域の人が教師になる「実践学習」を行なうカリキュラムで、この実践学習は、イギリスで11歳から16歳の生徒を対象に2002年より必修となった「市民学習(citizenship education )がヒントになっています。
午後の実践学習では、生徒が意欲的に取り組みたいテーマを自分で決め、学習計画も自分で立てて1ヵ月をオリエンテーションとして試行したのち、実践に入ります。その間教師はアドバイザーとして側面から子どもを支援し、テーマに関して講師となるのは、おもに定年退職で地域に帰ってきた人です。
テーマは料理や大工仕事、ロボットづくり、農作業、郷土の歴史、パソコン、漫画・・・その他なんでも、子どもの興味に応じてたくさんのプログラムをつくります。さらにまた週に1回は、専門的な知識や特殊技能を将来開花させられるよう、学年のわくも学校も、地域の枠さえ越えて、たとえばプロのアニメ作家が漫画を教える、というような「マニア学習」を設けようというものです。
なかなか素敵なアイデアだと思ったのですが、区の答弁は「実施するには多方面にわたる調整協議が必要であり、そういった現実問題もよく勉強してほしい」。でもこれは予想していたことで、それほど落胆していません。この一連の活動でゼミ生各自がそれなりに収穫を得られれば、議会での提案まで実践した意味があったと言えるわけですから。