青春映画 若者は川をわたる

「パッチギ!」と「モーターサイクル・ダイアリーズ」

最近見た青春映画はいずれも、主人公が川をわたる場面が印象的でした。

井筒和幸監督の最新作「パッチギ!」で少年がわたるのは京都の鴨川。対岸には在日朝鮮人の少女がいます。二人を隔てるこの川は、日本と「在日」の高校生同士の決闘場面でも両者の間を隔てる装置として登場します。

日本がかつて朝鮮に対して何をしたのか知って気持ちを高ぶらせた少年が、大切なギターを叩き割って橋の上から捨てるのも、この川でした。この川はまた、映画の各所で繰り返し歌われる曲「イムジン河」そのものに重なります。朝鮮半島を南北に分ける象徴としてのイムジン河です。

「竹島」の領有問題や歴史教科書などをめぐって日韓関係が思わしくない状態にある今の時機に「パッチギ!」が上映されているのは、タイミングがよすぎるほど。井筒監督の「日本が周りの国にどんなひどいことをしてきたか、知らなきゃ本当の友達になれない」というメッセージがじかに伝わってきます。

さてもうひとつの映画、若い日のチェ・ゲバラと友人のバイク冒険旅行を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」では、ハンセン病患者が隔離されている向こう岸をめざしてゲバラ青年は夜のアマゾン川に飛び込みます。

医学生として旅の途中ハンセン病療養所にしばらく滞在し、明日は去るという前の晩のことです。突然思い立って泳ぎだした喘息もちの青年に、はじめ「戻れ、やめろ」と叫んでいた両岸の人たちがやがて「がんばれ」と励ますようになり、喚声の中で彼が泳ぎきるこの場面はクライマックスのひとつ。

まったく異なるタイプの映画ですが、若者を等身大に捉えて成長の物語を描いている点は共通しています。そしてもうひとつの共通点は、「人は国境を越えてつながりあえる」という言葉が両主人公から語られること。

自分の意思・情熱と体で行動することが、若者の視野をより広い世界へと向けさせ、社会の底辺や負の部分に心を寄せることが彼を成長させる。そういうプラス志向もこの2作品に共通していて、気持ちよい後味を残します。