遺伝子組み換えイネはいらない①

生産者も消費者も望んでない

「がんに効く薬」を含んだ卵があったらがん患者は歓迎するでしょうか。ニワトリの遺伝子操作に英国の研究所が成功し、そういう卵が産まれるようになったそうです。「薬入りの牛乳」を出す遺伝子組み換え乳牛ができた話も以前聞きましたが、これを科学の進歩と受け入れる気になれません。

食べると花粉症が軽くなるコメ、発毛を促進する遺伝子組み換え大豆も開発されています。実用化こそされていないものの、コメのほうは9月の収穫をめざして茨城県で、また新潟県では病気に強い遺伝子組み換えイネの田植えが6月中に始まるとニュースで知って驚いています。

9年前に流通が始まった当初の遺伝子組み換え作物は、「生産者にとって有益」なものでしたが、その後あたかも「消費者にとって有益」な機能を与えられた「第2世代」があらわれ、国際的な開発競争が繰り広げられています。

でもちょっと待ってほしい。消費者がいつ、生物の遺伝子に手を加えて強引に価値を付加した卵やコメ、大豆を求めたのですか。それとも生産者が望んだのでしょうか。

岩手県で進められていた遺伝子組み換えイネの開発が、全国の消費者と生産者を巻き込んだ反対にあって中止になったのは、1年半前のことです。私も請願書に署名しました。北海道ではあらゆる遺伝子組み換え作物の栽培を罰則付きで規制する条例がこの3月に成立しています。

これらは、日本の消費者も生産者も「遺伝子組み換え作物はいらない」と考えていることのあらわれだと思います。時間の試練を経ていない、動物と植物の種の壁をも越えてしまう、いったん生み出したら生態系にどのような影響を与えるか予測もつかない生物の登場を望んでいるのはだれなのか。

答えは簡単。新たな需要が生んだビジネスによって利潤を得る人がいるとわかれば、納得できます。

写真・・・都市農業を体験