前進のために後退することだってある

アジアと日本の未来をひらく女性のつどい

区議会第3回定例会の会期中です。少子化対策と歴史教育について質問しましたが、これについては次に回すことにして、最近参加した集会の報告を。

9月17日に韓国・朝鮮と日本の女性が協力して開催した「戦後60年を問い、東北アジアと日本の未来をひらく女性のつどい」がそれです。アジアの連帯を意識しつつ「人権」「平和」「教育」などさまざまなテーマで活動している女性が集まって、朝鮮半島の統一や日朝国交正常化の夢を語り合いました。

パネリストの土井たか子さんと石毛鍈子さんはいずれも衆議院選で議席を失ってしまいました。土井さんが「議員はやめても引退ではない。憲法を守るためにがんばる」と語りましたが、石毛さんの話はいささかショックでした。

議員として戦後補償問題に取り組んできて、戦後60年の節目に実りかけていたことが、小泉首相の解散劇で廃案になってしまった、というのです。

たとえば従軍慰安婦の「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」。また、旧日本軍が中国で毒ガス兵器を開発したことなど、歴史の事実を調査する機関として国立国会図書館に「恒久平和調査局」を設置させる法案も。石毛さんはこの法制化を進める議員連盟の幹事長として、何年もかけて粘り強く提案してきたのです。ほかに韓国・朝鮮人の被爆者やBC級戦犯の問題なども、法案として提出されていたのに、審議されず廃案になったといいます。

もちろん消えてなくなったわけではないけれど、今度の国会の勢力を見れば、いつ再提案されて審議にこぎつけるのか、悲観的にならざるをえません。

でも、韓国の国会議員、韓明淑(ハン・ミョンスク)さんが最後に語った言葉に励まされました。闘いつづけてきた女性民主運動家ですが、人間としての度量の大きさ、その品性は人をひきつけます。彼女はこう言いました。

「歴史認識の隔たり、右傾化のいろいろな兆候、さきの選挙結果など、厳しい状況があるけれど、いまは前進のための後退だと思えばいい。危機はチャンス。進んでゆくために準備するときだと思えばいいんです。」