昨年成立し施行された食育基本法。その制定にあたっては、「あるべき食」を押し付けることになるのでは、というおそれから慎重論があり、また、「食育」という言葉自体にも、本来楽しいものである「食」に堅苦しい枠をはめてしまうようなニュアンスが感じられます。
でもこの言葉がすでに使われ始めた以上、それが充実した内容で豊かに展開されるようになることへの期待を込めて、「食育」を推進していく区の姿勢を問いました。
従来言われてきた「栄養指導」でも「健康教育」でもない、「食育」の必要が言われるようになった背景には、食をめぐるさまざまな問題が徐々に進み深刻さを増してきたという社会状況があります。
カロリー過多、また逆にやせ願望による食行動などが健康に及ぼす問題。食の安全の問題。需要と供給に関して、日本の低自給率がもたらす問題。生活のありようが変わったことによる影響。そして食文化の側面などです。
これらの解決のために、消費者と生産者との信頼関係の構築から、地域社会の活性化や食文化の継承と発展、環境との調和、そして食料自給率の向上にまで、「食育基本法」が言及していることは、私が生協活動を通して実践してきたことそのものです。
区がこれを推進するには、包括的な取り組みが必要です。教育行政の施策として食育推進プロジェクトが設置されていますが、保健所や区民生活・環境などの所管、医療関係者も含めた連携の必要を指摘しました。