介護予防の拠点 地域包括支援センターについて

区議会第3定例会の質問から ⑤

「措置」から「契約による権利」へと福祉の概念を変えた介護保険制度が始まったのは2000年4月。生活者ネットワークはその1年前の99年より、市民団体による「介護保険制度検証のための基礎調査」に協力し、都内の高齢者500人を対象としたサービス利用実態の定点調査活動に参加しました。

5年間同じ人を対象に聞き取った調査から制度改善に向けた提案を行ない、今年4月の介護保険制度の大幅改正を受け、新たな調査を開始しました。介護予防に関する3ヵ年の定点調査、地域包括支援センターへの聞き取りなどです。今議会では、7月に行った杉並区での調査を踏まえての質問です。

新制度の目玉といわれる地域包括支援センターですが、人口2万から3万人に1ヵ所という基準を満たしていない自治体が多いなか、杉並で20ヵ所が足並みそろえて開設されたことは、区の前向きな取り組みによるものと思います。

地域包括支援センターは、利用者にとって「まず相談ができる」場であることが重要ですが、業務が多岐にわたるため多忙を極めているセンターが多いことが先の調査でわかり、仕事の量と人員配置について適切なのか、また高齢者虐待についての対応では、区とセンターの連携について問いただしました。

センターの存在や新制度のしくみがまだ知られておらず自分のエリアのセンターを知らない区民が多いこと、また特定高齢者の選定に関して、チェックリストの基準が厳しいため該当者が非常に少ない現状であることもわかりました。

いずれも改善や国への働きかけを求め、最後の質問として各センターの評価とその後の指導について、区の見解を確認しました。

改正介護保険の制度はまだ動き出したばかり。区の計画に明記されているように、一人一人の高齢者が「地域のなかで自立した質の高い生活を送ることができるように」、この制度が有効なものとなるよう、この制度をみんなで使いながら、ともに作り上げていくことが重要だと思います。