いじめの防止策が議論される中で、今こそ子ども自身の人権を学ぶ機会が必要であることが見逃されています。いま一番問題なのは、自分の状況、苦しさを誰にも言えない子どもがいることです。言っても親に心配をかける、自分の弱みを見せたくない、解決にはならない、と我慢してしまうことです。
すべての子どもは人権・権利をもつこと、子ども一人ひとりが自分の幸せを追求する権利があること、自分の権利を堂々と主張することはわがままでも他人迷惑でもないこと、命を守る価値があることを学ぶところから「いじめ対策」はスタートしなければならないと考えます。
子どもの問題を子ども自身が解決できる場合はじつはたいへん多くあり、子ども自身の内なる力を引き出すことで悲劇は回避できます。子どもたちに「自分は大切な権利を持っている」という人権意識を積極的に教えていくことによって、自分自身が価値のある大切な存在であることを知り、自信と勇気を取り戻す。そのような教育プログラムが、あるNPOによって開発され、学校や地域で実施されて効果を上げています。学校の授業に取り入れているところもあり、区としてもこのようなプログラムを積極的に取り入れることを提案しました。
国連・子どもの権利委員会は2004年、日本の学校でいじめなどの人権侵害が起きていることを懸念して政府に勧告を出したさい、子どもの権利救済のための監視機関として、オンブズパーソン制度をつくることも勧告しています。
日本は「子どもの権利に関する条約」を12年前に批准しながら、子どもの施策は相変わらず「してあげる」発想にとどまり、何が子どもに保障すべき事項なのか、子どもの最善の利益なのかを確認しないまま、対子ども施策が行われている状況です。杉並で、子どもの権利を保障するしくみとして、オンブズパーソン設置をもりこんだ「子どもの権利条例」の制定を、と改めて求めました。