「納豆ダイエット」捏造事件のこと ①

教育TMのほうが罪は重い

「納豆ダイエット」番組捏造事件は、制作会社の人事処分と番組打ち切りで幕が引かれた形ですが、いろいろな問題を思い起こさせます。

1月半ばスーパーでは「納豆売り切れ」のお断りが貼ってありました。「納豆でやせる」と信じた人が買いに走り、空前の納豆ブームに、業界が増産体制を組んだ矢先の、捏造発覚。「やせた」実証とされたデータはでっち上げ、写真もウソだった、外国人専門家のコメントに言ってもいない日本語訳をつけたという。

視聴者を愚弄したこと、メディアに対する信頼を失墜させたことは重大です。でも納豆業者以外には実害がないのが救いといえば言えます。

ありもしないことを事実に見せるため凝らす工夫、あらかじめ決めた結論に導くためのシナリオ、それに沿った進行。念の入ったでっち上げぶりは、去年騒がれていた教育のタウンミーティングを思い出させられました。

ただ、教育TMは政府権力が主導して莫大な税金が使われ、民意がでっち上げられたあげく教育基本法改定の根拠とされ、実際に改定されてしまったのに、その首謀者の責任は問われないままです。こっちのほうがずっと罪は重い。

それに比べたら「納豆ダイエット」事件には「だまされるほうも悪い」側面が確かにあると思うのですが、驚異的な数の抗議が制作側に殺到したというのは、バッシングの標的にされたから、と言えるのではないでしょうか。

私は正しい抗議はするべきだと思います。けれどこのバッシングには過ぎたものを感じ、かえって大事なことがやり過ごされたような気がしています。本質的な解決策を講じる前に「切ってしまう」ことになったからです。