多数のけが人や急病人の発生が予想される災害時には、ふだん以上に医療サービスのニーズが高まると考えられます。病院や医療機関に代わって医療サービスを受けられるしくみとして、杉並では小中学校67か所に立ち上がる震災救援所のうちの15か所に医療救護所が設置されることになっています。
その機能を充実させる体制について確認しました。また人も物資も設備も限られた状況下では、医療の対象者に優先順位を設定する「トリアージ」の考え方が重要だといわれます。具体的にどのように進めていくのかたずねました。
東京都は93年に策定した「薬局運営ガイドライン」で、薬局のあり方「かかりつけ薬局」を提案しています。地域の身近な医療専門家としてくすりに関して何でも相談でき、服用したくすりの情報管理もしてもらえるように、ホームドクターを決めるように「かかりつけの薬局」を決めておこうというものです。
医薬分業がすすんだことで、たとえば高齢者が複数の診療科で受診するようになると、薬の重複のおそれが生まれますが、これを防ぐ役目を果たすのが「おくすり手帳」です。薬歴情報を一元化して記録しておける「おくすり手帳」の役割と「かかりつけ薬局」の重要性は、まだ十分に認知されているとはいえません。
薬事法では本来、医師の処方せんなしにくすりの販売ができないことになっていますが、先般法が改正され、大災害時にはそれがなくてもくすりを販売できるようになりました。慢性的な病気で毎日服薬が必要な人にとっては、身近な薬局でいつもの薬が入手できれば、こんなにありがたいことはありません。
ただし誤用を避けるために薬の正確な情報がなければなりませんが、かかりつけ薬局が発行する「おくすり手帳」があればそんな時効力を発揮します。しかしこのことは一般にもあまり知られていません。区民への周知、普及啓発など、区の取り組みの必要を指摘し、改善を促しました。