14歳で統合失調症を発症して20年になるというある人の娘さんは、起きている間じゅう妄想と幻聴にさいなまれ眠っている時間だけが平安でいられると言い、自分が生まれたことをのろい自分を産んだその人をのろい、いま病状が悪化して入院中。外から鍵をかけられた病室内のトイレには目隠しがありません。
別の男性は、40代の息子が何度注意してもクレジットカードを無断で作ってしまうのだといいます。年金だけでは小遣いが足りないからと、「リボ返済」で簡単に返せると思い込んで信販会社のカード契約を繰り返し、発覚するたびに父子で口論になったあげく壁に向かって暴力を振るうのだと。「だからうちの家では壁に大きな穴があいているんです」という。
知的能力はあるのに考えや感情を「まとめることができない」ためにつじつまの合わないことを言ったり合理性のない行動をとったりするのが統合失調症の特徴で、人とのコミュニケーションをとるのが難しいので引きこもりになるケースも多いといいます。一緒に生活する家族が強いられる緊張は大変なものです。
障害者自立支援法による影響もあり、当事者を苦しめています。でもこの病気による障がいが深刻なのは「見た目がふつうと変わらない」がゆえにおきる差別です。差別を克服すること。そして障がい者の権利が保障されること。
昨年12月に国連で障害者の権利条約が採択され、多くの国が批准の意志を示す署名をしましたが日本はまだです。調べてみるとヨーロッパのほとんど、アジアでも中国、韓国、インド、インドネシア、タイが署名済みなのに、です。
日本と、米国、ロシアもまだでした。こんなところまで米国に歩調を合わせる必要があろうはずはなく、日本はこの条約に批准すべきです。そしてもちろん、その次には国内での障がい者の権利保障のための法整備を進めないと。だって人権後進国には住みたくないから。