障がい者のアートの世界が広がる

宮野裕子さんのネットサロン

杉並・生活者ネット会員の宮野裕子さんはチェンバロの絵付師として第一人者です。また、その絵画の世界は、繊細で愛らしく写実的な植物画から、豪胆で厳しくそれでいて穏やかなモノトーンの仏像画あり、私もファンのひとりです。

カルチャースクールや幼稚園、またご自宅でも絵画の指導にあたるかたわら、「すだちの里」で絵や手工芸指導のボランティアをなさっていると1年ほど前に知って、いちどその話をゆっくりお聞きしたいと思っていました。

で、9月の「ネットサロン」は、今川にある障がい者の自立生活支援センター「すだち」の場所をお借りして、所長の佐藤弘美さんからこの施設の概要について、宮野さんからはその活動について、お話を聞く会になりました。

知的障がい者50人が暮らす居住施設「すだちの里」に併設された「すだち」では、障がい者本人が参加するクラブ活動の充実に力を入れています。宮野さんは「自分から売り込んで」アートクラブの指導を担当するようになったそう。

屏風ふうにつなげた水彩画、紙皿に季節の果物を描いたもの、ちぎり絵、「歯をみがこう」のポスター・・・など、いろいろな作品を私たちに見せながら、「どれもすばらしくて1枚も捨てられない」という宮野さんの目の輝いていること。

彼らの持っているアートの世界をどうしたらもっと引き出せるのか、もっと広げられるのか、アイデアが次から次へと浮かんでくるんだそうです。そんな宮野さんの、次の言葉をぜひ伝えたいです。

「私は教えることなんて何もしない。しなくていい。ただほんのちょっと、背中を押してきっかけをつくるだけ。それだけで彼らからこんなにすばらしいものが引き出されてくる。美術を専門にやってきた私が、かれらにはかなわない。」

どうですか?・・・「かれら」も宮野さんもすごいでしょう!