かつて年金法に「国籍条項」があったために、その後の法改正においても、網からこぼれ落ちるように社会保障制度の枠からはじきだされてしまった人たちの存在を、わたしはこれまで知らずにきました。自分の無知を恥じるばかりです。
大阪では救済を求めて訴訟が起こされていますが、同じ問題がなんと杉並区にもあったこと、年金記録に始まり社保庁の体質まで含むさまざまな問題の陰で、これほど理不尽な問題が放置されてきたことに、正直言って驚きました。
他の自治体の状況をみると、たとえば世田谷区ではここ7年間にわたって4度も陳情が行われ、先の議会でようやく区独自の給付制度ができる方向に動きました。年金は国の制度なのでもちろん別の形の手当てということになります。
都内ではほかに北、荒川、江戸川、葛飾、豊島などの区部や小平、国分寺、東久留米・・・などでも自治体独自の給付制度がすでに実施されています。
委員会で審査に入る前、在日の人権を取り戻す支援活動としてこの問題に取り組んでこられた柴田文恵さんが趣旨説明されました。柴田さんの訴えた当事者の厳しい現実はあまりにも痛ましく、胸を締めつけられました。
本来国の責任において制度改正を行い生活保障するべきですが、その見通しが立たない今現在、現場の自治体が対策を打つべきだと思うのです。しかし杉並では今回初めてこの問題が提起されたため、「研究・検討の時間が若干必要」との認識にもとづき継続審議とすることになりました。
近いうちに再度審議にかけられることになると思います。そのときにはこの請願を採択とし、区は救済措置を講じるべきです。
写真 ネット会員宮野裕子さんの絵の個展で 右は帽子デザイナーの合渡都(ごうとみやこ)さん