日本版US−VISITなんてごめんだ

人権侵害、時代の波に逆行

国際人権擁護組織アムネスティが警告していた「日本版US−VISIT」が20日から始まってしまいました。USは米国、VISITは「Visitor and Immigrant Status Indicator Technology」の略で、「米国出入国現況表示技術」のことです。

テロ対策と称して、日本にやってきた外国人は指紋採取と顔写真の撮影に応じなければ入国できない、というとんでもない管理システムです。去年の国会で法改正がされたらしい。9.11テロを経験した米国が04年から導入し、日本はそれにならって世界で2番目の、自ら孤立を選んだ国になったようです。

鳩山法務大臣の「友人の友人がアルカイダ」発言が飛び出したのは、この制度に関する説明中のことでした。テロリストが簡単に入国できる日本は危ない。だから「テロを防ぐという大きな目的のために我慢してほしい」と言っていました。

大臣はその後も問題発言の続出で物議をかもしていますが、爆弾発言に気を取られている間に、こんな制度が法務大臣の責任において着々と執行され、実績が重ねられていくことに、もっと敏感にならなければなりません。

2000年まで続いた外国人登録の「指紋押捺」が廃止されたのは、それが外国人差別を助長するような人権侵害だったからでしょうに、7年後に今度は顔写真まで義務化するなんて、日本は本当にどうかしています。

だいたいテロリストが外国人とは限らないし、外国人だからといって何の権利があって究極の個人情報を収集して、それをどうしようというのか。米国でさえ効果が疑問視されているのに。そんな国に誰が来たいと思うでしょうか。

そこには多文化共生もなければ異文化理解もなく、人権尊重などさらにこれっぽっちもなく、まったく、時代の波に逆行しているとしか思えません。