地方都市の農業を杉並が支援するしくみをつくれないか

交流都市の「畑トラスト」 —決算特別委員会の質問より①

農業委員会は地方自治法に定められた行政委員会ですが、農地のない自治体には設置されていません。そんな中で杉並区は、世田谷や練馬と並んで農業委員会が設置された23区中7区のひとつ。しかし区内の農地は減り続け、農地面積のここ数年の推移は05年61ヘクタールだったものが06年54、07年は52 haとなってしまいました。

区は都市農業の価値や重要さを認識し、施策に取り組んではいるものの、住宅地の多い杉並区にあっては、農業の衰退を食い止めることは難しいのが現実です。

農業をなんとか守りたい、農地を減らしたくない。消費者として国内生産者を支えたい、しかも消費者と生産者の顔が見える関係が望ましい。そこで、杉並区と友好関係にある地方都市の生産地と、杉並区という消費地を結ぶことができないか、と考えました。

杉並区はいま北海道名寄市、福島県北塩原村、同南相馬市、新潟県小千谷市、群馬県東吾妻町と友好関係、あるいは災害時相互援助協定やまるごと保養地協定を結んでいますが、これらの都市はいずれもすぐれた農産地です。

現に、庁舎前のスペースや区施設でときおり催される各地の物産展はいつも買い物客でにぎわい、楽しみにしている区民も多いようです。

この農産地に生産を託すトラスト制度はどうか。都市に住む消費者が、会費を払って農地の一部を所有し、そこでの生産を土地の農業者に託すことで生産を保障するしくみです。私は千葉県にある棚田のトラスト会員になっていますが、大豆畑トラストというのも各地で実施されています。

日常の農作業は土地の人に任せるけれど田植え時や種まき、育ってきたころの草取り、収穫のときなどに現地に行ってその土地の人に教えてもらいながら農作業を実体験することもでき、とれたコメや野菜がもらえる、という制度を、区と各交流都市との共同でつくれないものでしょうか。その土地の民宿に泊まる機会も増えるでしょう。

杉並では体験型農園の人気が高く、農業への関心は高まっています。この関心を交流都市に広げ、地方の農業に区民が参加でき支援する、また、消費することで生産に関与できるような、農業がつなぐ交流のあり方が検討されるべきです。