川遊びできる水辺の「安全」と「自己責任」

環境博すぎなみ「善福寺川フォーラム」にて

「善福寺川フォーラム」は、人の暮らしと川のありようをいろいろな立場の人が一緒に考える場として、生活者ネットもかかわり回を重ねてきています。杉並区の環境博覧会の企画のひとつとして18日に催されました(こちらも参照)。

基調講演は山田清さん。本職は建築家ですが、環境、自然、まちづくり、市民活動、などの分野を超えて活動する山田さんの肩書きは、簡単には表せません。ただこの日のテーマが「川で遊べる公園づくり」だったため、小学校の子どもたちと川体験した総合学習の話には熱が入りました。

シンポジウムで印象に残ったのが「自己責任」というキーワード。きっかけとなったのは、パネラーのひとり重久和男さんの言葉です。

3年前の洪水により都の「激甚災害対策特別緊急事業」の指定を受けて済美公園が親水公園として生まれ変わるべく、区民懇談の場が設置されましたが、そのメンバーになっているのが「みどりの善福寺川を愛でる会」の重久さん。

重久さんは、父上の仕事の関係で全国各地で暮らした子ども時代、さまざまな川で遊んだ経験から、杉並に住むようになって善福寺川が「柵があって入れない」ことに驚いた、「危険だから寄せ付けない」というのでは川がよけい危険な場所になってしまう、「自己責任ということを確認したい」と言われたのです。

ドキッとしました。でも大事な問題です。山田さんがこの発言を受けて「川に人が入ってはいけない法律は日本にはない」と指摘し、希望が見えた気がしました。しかし学校の授業で「川に子どもを入れるのに苦労した」体験を語り、「川と親しむ」ことの難しい現実を確認させられることになりました。

重久さんは「自己責任とは自立」とも言われ、それは住民参加により実現する、と続けましたが、さまざまな地域活動を研究している長野浩子さんの話は「住民参加はどこの事例でもむずかしい。外濠での活動は、法的な問題はあるがまずは活用を広げていくことが戦略かもしれない。」というものでした。

安全と自己責任は、重い課題です。しかし実際にいま一番の問題は、降雨時に下水が流入することによる汚染問題。雨後の川で一番多いごみはネズミの死骸、という話には悪い夢を見そうで・・・少しずつでも改善に向けていかなければなりません。