学校給食は小中学校9年間という限られた期間の、しかも昼食だけの食事ですが、家庭における食のありようが変化し、栄養のバランスを始め質の低下がいわれる昨今、期待されるものや教育的役割は大きいものがあります。
学校給食法が今年2月、1954年の制定以来54年ぶりに大幅に改正されました。すでに施行されている食育基本法にそって、その位置づけを変えたものといえますが、杉並区の学校給食における食育は、それ以前からすでに積極的な取り組みがされています。すべて手作りでおいしいと子どもたちの評判もよく、安全対策、アレルギーへの対応など、充実した内容といってよいと思います。
給食におけるキーパーソン、栄養士は食材を決め調理の指導、味付けのチェックから、学校全体の食育を推進する役割も求められます。全校の半数に栄養士を設置するという都の規定により杉並では66校中33校、済美養護学校と南伊豆健康学園をあわせて35校に都採用の栄養士が配置されていますが、それ以外にも区の嘱託としてすべて栄養士が配置され、大いに評価するところです。
一方、食に対する信頼が崩壊し、学校給食においてさえ、事故米の混入事件をきっかけに安全を疑わざるを得ない事態が生じています。食の安全という観点から、食材の選定や、異物混入などの事故を未然に防ぐための危機管理対策について、小中35校の民間委託校をふくめ対策を問いただしました。
少なからぬ区民から不安をもたれて導入された民間委託ですが、委託後の給食が子どもや保護者などからおおむね高い評価を受けていることには安堵しています。そのベースには、学校給食運営委員会という、保護者の意見を届けるしくみが設けられ、また学校ごとに給食をつくる「自校調理方式」であったからこそで、今後もこの方式を貫くことを区には念を押しました。
安全な食ということでは、現場の調理員たちが不安やストレスなしに働ける場になっているかどうかも、重要な問題です。給食調理室という限られた空間で働く栄養士と調理員たちの身分の差、雇用条件、労働条件が違いすぎることはコミュニケーションを妨げる要因になり、ミスにつながることもありえます。民間委託がそのような問題をはらんでいることは認識しておかなければなりません。