国会での「図書館に指定管理はなじまない」という見解を併せて見るとき、杉並区があと2年間で全地域館を指定管理にと進めることは拙速だし賢明とは思えません。指定管理で先行する2館、業務委託がされている4館の運営状況を今しばらく見守ってからでも遅くないと思います。
杉並区はいったい図書館の未来をどうしたいのでしょう。
現在、区立図書館のウェブサイトに「基本方針」が公開されているのはよいのですが、そのトップは「民との協働で個性ある図書館づくり」であり、図書館の設置目的やめざすべき理念をうたった箇所がありません。
「民との協働」「運営状況」「経営評価」「効率化」などの語句が目につき、図書館が本来的に持っている高い志のメッセージや社会教育を担う公的施設であるという基本コンセプトが伝わってきません。
杉並区の図書館には理想とするビジョンがないのだろうかと思ってしまいました。近く制定される予定の教育憲章で公共図書館についてふれることは考えていないようです。ならばなんらかの理念的指針を策定されてはいかがか、と質問しましたがそのつもりはないといいます。
私は民営化・委託化がすべて悪いとは思わないし、税金を有効に生かすための効率化は必要です。またこれまで進めてきたことについては、図書館協議会に諮ってきたことでもあり、異議を唱えるものではありません。
ただ、今後のことは、最近になって熟考すべき問題点が明らかになってきたことでもあり、一度決めたからとこのまま直進することに強く疑問を感じています。