住宅セーフティネットの機能を高めていくこと

09年第4定例会議会質問より① 高齢者編その1

神田川の環7地下調節池にて
神田川の環7地下調節池にて
議会質問の最初は高齢者のすまいについて。介護や医療を主とした施設ではなく、「在宅」としての「住まうところ」のことです。高齢者だけの世帯が増え、地域に暮らす高齢者のすまいをめぐる問題が増大しつつあります。

昨年暮れ、日比谷公園に出現した派遣村は、仕事を失うと同時に住まいを失う人の多いことに驚かされ、住まうということ、住まい方は生活の基本であり、人の尊厳にかかわる問題だということに気付かされました。

また、今年3月に群馬県渋川市の有料老人ホーム「たまゆら」で起きた火災事故は、すまいと身寄りのない高齢者が、貧しい福祉政策の犠牲となって、都心から離れた劣悪な住環境に追いやられている問題を提起しました。

2006年、住生活基本法の制定により、建設イコール住宅政策とされていた国の方針が「量から質へ」「市場重視・ストック重視」へと転換されました。「住宅のストックが世帯数を上回り、量的には充足しているため、今後は質の高い住宅が住宅市場において供給されるべき」というのがその意図。

これに伴い区に求められる新たな役割をたずねたところ「住宅市場において自力で住宅を確保できない方々にとっての住宅セーフティネット機能を高めていくこと」という返答でした。そこで、高齢者の問題です。

一般的にひとり暮らし高齢者では男性よりも女性が多く、女性のほうが低所得です。これは、女性の社会的地位が男性のそれよりも低く抑えられてきたという、女性問題に起因することです。今後、高齢女性の貧困問題はさらに深刻度を増し、住宅政策に大きく影響していくと予想されます。

このことについての区の見解を問うと、「女性は比較的早くから制度や福祉サービスを利用しているが、男性は閉じこもりがちで多様かつ深刻な課題を抱えて暮らしている傾向がみられる」という答え。

なるほどと思い、いつか樋口恵子さんが「女性のほうが長生きで、地域での暮らし方を知っている。だから21世紀の東京は元気なおばあさんの時代」と言っていたのを思い出しました。