昨年区が実施した「杉並区ひとり暮らし高齢者実態調査」によると高齢者の一戸建て持ち家率は53.5%、次に公社・公団等の賃貸住宅19.9%、分譲マンション11.4%と続き、木造アパート、民間の賃貸マンション、鉄筋・鉄骨アパート、民間の一戸建て借家を合計すると13.9%となります。
高齢期の住居を住みやすくするには、持ち家ならまずバリアフリー化でしょうが、高齢者に適した住居に「住み替える」という選択があります。
01年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定され、高齢者向けの住宅は多種多様になりました。
高齢を理由に入居を断わることのないよう登録制度が定められている「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」、そのなかでも高齢者だけに貸す「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」をはじめ、さまざまな物件が市場にあふれ、新聞広告やカラーパンフレットが出回っています。
当事者の条件やニーズに照らして選択できるよう利用者の側に立った、わかりやすい情報提供が求められます。また「高齢者のためのすまいフェア」や個別相談会を開催するなど啓発に努めるべきだと思います。
高齢者用賃貸住宅全体の供給量を増やしていくことがどうしても必要です。小規模多機能型施設を区は今後整備していく計画ですが、そのとき、高専賃との融合型施設としてはどうでしょう。
小規模多機能型居宅介護施設は身近な生活圏内にあることに意味がありますが、事業者にとって収益性が低いためなかなか町なかでの事業着手に踏み切れないのが実情です。同じ建物の中に賃貸住宅を入れることで経営の安定が図れますし、相互にその機能を有効に生かせるという利点があり、実際そのような成功事例が見られます。
区に検討を求めたところ、「選択肢の一つとなりうる」と前向きな答えが得られました。