子どもたちの口に入る可能性からみても、水環境に与える負荷の点からも、また厨房で作業にあたる調理員の健康を守る意味でも、石けん使用が望ましいことは、先ほど来述べてきたとおりです。
2007年の実態調査では、杉並区内の全小中学校で合成洗剤使用となっています。ところが市部では相当数の自治体が100%の学校で石けんを使用。23区は合成洗剤使用が圧倒的に多いのですが、港、大田、世田谷区は小中学校100%、葛飾区でも約90%の学校が石けん使用です。
学校の厨房で使用する食器洗浄剤は、環境や健康に配慮して選択されるべきです。まずは1校でも、石けん使用のモデル実施を検討すべきではないのか—。質問しましたが、答弁は次のようなものでした。
石けんは水が低温だと石けんカスが生じやすく除去が必要になるうえ、大量のお湯を使うことになる。その点、合成洗剤は水に溶けやすく石けんよりも少量で洗浄効果があがる。環境への影響、作業面への配慮、経済性などを総合的に比較・検討して、天然植物から作られた合成洗剤を使用している。だから現時点でモデル実施は考えていない。
再質問の答弁も同様で、反論したい点はありますが、学校給食の洗浄剤について考えるポイントを区に提示したこと、まずは一石を投じたことで、今回はこれで収めることにしました。
石けん運動は、石けんはよいものだからたくさん使おうという運動ではありません。環境負荷の高いものを選択しない、一人ひとりがくらしを見直して行動することです。「協同組合石けん運動連絡会」の冊子に今年、山田区長が寄せたメッセージに「区民一人ひとりがほんの少しくらしを見直し、環境への関心を高めていくことが環境都市杉並の礎となるものです」とあります。
生活者のそのような行動を引き出すよう区は尽力されたい、と最後に要望しました。