ことし1月、江戸川区内で小学校1年生の少年が両親の虐待を受けて死亡するという痛ましい事件がありました。学校は、昨年9月には家庭での暴行の事実を把握し家庭訪問までしていたにもかかわらず、日常的な虐待の可能性を疑うことをせず、子どもの死を防ぐことができませんでした。
児童相談所への通告もなく、虐待に対する学校関係者の認識不足、対応の初期の段階での感度の低さが諸機関との連携不足を生じさせ、悲劇を招いたといえます。また「虐待問題に対応可能な専門家が学校現場には必要」とのコメントが議会や外部の有識者からも出されました。
その具体策のひとつがスクールソーシャルワーカーといえるでしょう。
学校でのいじめ、不登校や、家庭でのひきこもり、虐待、特別な支援を必要とする事例など、子どもに関わる課題への対応として福祉的なアプローチを必要とされるケースは数多くあります。
仮にある不登校の中学生の少女がいたとして、これを本人の心の問題として心理療法的な相談対応にあたるのがカウンセラーですが、スクールソーシャルワーカーは違います。
少女は、実は学校でいじめにあっているかもしれない、家庭では家族間の不和があるか、保護者が経済的問題を抱え貧困状態にあるかもしれない、薬物やアルコール依存にかかわっているか、家庭内暴力やドメスティックバイオレンスの被害者かもしれず、摂食障がい、うつ病などの健康上の問題か、発達障がいをもっているかもしれません。このようにさまざまな問題が少女の背景に隠れている可能性があります。
そのようなケースに対し、社会福祉的な視点と手法をもって、本人個人というより、その環境に働きかけることで解決を図ろうとするシステムが、スクールソーシャルワーク、その仕事を担う専門職がスクールソーシャルワーカーです。
つづきは次回に。