法改正で変わる貸金市場 重要度増す多重債務の相談

予算特別委員会の質疑より②

貸金業法が改正され、6月からの本格的施行が目前に迫る現在、市場の変化が利用者に影響を及ぼしています。まず利用者の側にとっての大きな改正点は、年収の3分の1までしか借りられないという総量規制の導入です。

また利用者に金利過払いを生じさせてきたいわゆる「グレーゾーン金利」の廃止により、貸金業者にとっては利益が薄くなるため破産する業者が出て、大手の貸金業者以外は淘汰されてきています。

業者はリスクのある人に貸さなくなり、成約率は7割から3割に激減しています。借金返済のために借りられなかったり、給与の減額により住宅ローンが返せなくなったりで、破産せざるを得ない人が増えています。

一方グレーゾーン廃止は、金利の過払いを取り戻す債務整理ビジネスの終焉を意味します。ところが、多重債務に陥っている人の多くの債務整理は破産か民事再生しかないのに、悪徳弁護士・司法書士が任意整理するといって、暴利をむしり取られるような2次被害にあう問題も起きています。

このようなときに消費者センターの相談員が、弁護士・司法書士へつなぐだけが仕事と思っているとしたら、利用者にとって不幸なことです。

都が実施している「多重債務者生活再生事業」は、自立した生活を取り戻したいと考える人の立て直しをきめ細かい対応によりたすける事業で、ブラックリストに載った人にも貸付ができる制度ですが、知られていません。多重債務にかかわる部署の担当者にはきちんと伝わっているでしょうか。

最後のセーフティネットである生活保護にかかる扶助費は杉並区でも過去最高額になっています。生活保護に頼らざるをえなくなる前に、いろいろなセーフティネットがあることが望ましい社会です。

第2のセーフティネットについては、昨年も一般質問でとりあげました(こちら)が、多重債務問題はいまや、自己責任の問題ではなく貧困問題・社会問題としてとらえるべきです。区は生活に身近な自治体として、相談機能のさらなる充実を図るよう要望しました。