食品表示の改正を求める陳情、採択ならず

保健福祉委員会で審査され継続審議に

 加工食品の表示、遺伝子組み換え食品の表示、クローン由来食品の義務表示化の重要性を補足説明する小林さん(左はじ)
加工食品の表示、遺伝子組み換え食品の表示、クローン由来食品の義務表示化の重要性を補足説明する小林さん(左はじ)
昨年9月に生活クラブ運動グループの仲間が議会に提出した陳情、「食料の自給力向上と、食の安全・安心の回復に向けて、食品表示制度の抜本改正について国への意見書提出を求めることに関する陳情」の審査が4月15日の保健福祉委員会にかけられました。

陳情の内容は、加工食品原料原産地と遺伝子組み換え食品、クローン家畜由来食品の表示を義務化することと、これらを可能にする制度改正のために国に意見書を提出してほしい、というもの。生活クラブから発信して全国規模で請願・陳情が展開されています。

審査にあたっていったん委員会を休憩扱いとして陳情者に補足説明の時間が与えられ、委員と陳情者との間での質疑応答をへて、再開された委員会で今度は委員と行政との質疑応答、といつものように進行します。

陳情者の小林菊美さんは、今の表示制度はわかりにくいこと、消費者が自分の意思で選べる制度にしなければ自給率アップにつながらないこと、遺伝子組み換え食品の問題は輸入に依存する構造と密接に関連していること、その典型が自給率たった5%の大豆であること、遺伝子組み換え穀物が家畜の飼料として大量に使われている現実、消費者の多くが不安を抱いているクローン食品の表示が任意扱いであることの問題点…などを述べました。

これに対し3人の委員から、遺伝子組み換えやクローン食品の安全性についての認識、表示義務の強化が安定供給に及ぼす影響、外国の表示制度の状況、穀物メジャーの動きに対する問題意識などについて質問が出され、もうひとりの陳情者、田中のり子さんがおもに答弁しました。

行政側との質疑応答では、「表示を義務化すると中小事業者への圧力となり安定供給に支障をきたす」、また区にとっても混乱がおこる、消費者にとってさえ「わかりやすくなるとは限らない」という後ろ向きな議論が先行し、「国内自給を上げることこそ安定供給では」という前向きな問いにも「自給率の議論は区行政の限界を超えている」と牽制球が返ってきました。

けっきょく「継続審議に」という動議が出されて可決し、事実上の結論先送りが決定。これまでに都内5区12市では採択がされているのですからこの結果には満足できません。しかし、質問した議員3人とも、この陳情のもたらした意義を認め問題提起を評価する、と述べたことは成果と感じています。