家族介護者がいることが前提で成り立ついまの日本の在宅介護。介護者への肉体的・精神的、さらには経済的な負担は、人権問題ととらえることが必要なのではないか。「支える人を支える『ケアラー連盟』」の設立(こちら)に先立つ6月5日、本会議一般質問でこの問題を採り上げました。
「ケアラー連盟」は、社会保障制度を再構築するうえで「介護する人」「看病する人」の問題をきちんと位置付け、ケア者を支援するしくみを社会的に整備することをめざしています。先行モデルとされるのは、イギリスの例です。
英国では高齢者、障がい者、障がいのある子どもなどをケアする人たちのいずれも、「介護者」というひとつの括りでとらえられているのだそう。介護者自身が自分のことを後回しにして自らを追い込んでしまう人が少なくないのは日本と同じですが、介護者「だけ」のために多彩なサービスが用意された在宅介護者センターが全国的に設置されているところが大きな違いです。
同センターを運営する財源は公費と王室関連の福祉団体の独自予算であり、そこでは相談・情報提供、人権擁護活動、カウンセリング、などを行うことが義務付けられ、モーニングカフェなども設置されています。
そのような事業の法的根拠となっているのが、1995年に制定された法律「介護者法(ケアラーズ・アクト)」です。これまで2度の改正を経て、08年には「介護者のための全国戦略」が策定され、介護者支援が強化されているとのことです。
日本での市民の動きは、イギリスの手法をお手本に目標を定めつつ、最初のステップを踏み出そうとしています。