介護者問題は若年世代にもおきている

2010年第2回定例会 議会質問より⑥

英国で最初に始まった介護者支援活動は、高齢者問題ではなく若年世代の就業支援だったそうです。親の介護のために職に就けない、あるいは職を失った若い人たちの就職相談や、技術取得プログラムの活動が出発点と聞きました。

日本ではどうでしょうか。先日の「ケアラー設立集会」では、親の介護のために仕事を辞めざるを得なくなり、貧困のどん底に追い込まれ、介護から解放されたときにはすでに復職もかなわず社会的に孤立してしまった、という若い人の報告もありました(関連記事はこちら)。介護者問題は日本でも、若年世代にも起きているということです。

区職員には12年前から介護休暇制度がありますが介護休業を保障している企業はまだ多くありません。おりしも、育児・介護休業法が改正され、介護休暇制度の新設がここに盛り込まれています。

介護と仕事の両立が若干でもしやすくなる意味で歓迎するものですが、制度を支える社会的基盤整備はまだまだです。在宅で介護する家族に共通する問題が、介護者の生活を圧迫し、人権侵害にまで至っていることが社会問題として捉えられていないからです。

21世紀ビジョンで「個人の尊厳」「区民一人ひとりの人間性が尊重されることを何より優先」とうたう杉並区は、このような状況をいつまでも黙って見過ごしていていいはずがありません。

質問の最後に1点つけ加えました。私が介護者の問題を取り上げたのは、私にとっては大切なある人のブログに背中を押されたからであること。昨年ALS(筋委縮性側策硬化症)という難病に倒れ、ご自宅で奥さまや娘さん、ヘルパー、看護師さんなどの介護・看護を受けながら療養生活を送っているその人が、身動きのままならぬベッドの上から日々ブログを発信していること。

家族の疲労を目の当たりにして心を痛め苦しい心情がつづられているのを読むと、介護者のストレスが介護を受ける側にもストレスとして積もっていくのだとわかります。何らかの介護者支援のしくみが必要、と繰り返し書かれています。もうこれ以上在宅介護者の問題を放置していてはいけない、と最後に訴えました。