持続可能な発展のための教育「ESD」の啓発を

2010年第3回定例会 議会質問より③


「持続可能な発展のための教育=ESD」について質問しました。英語の「Education for Sustainable Development」の日本語訳ですが「発展」でなく「開発」あるいは「持続可能な社会に向けた教育」「持続可能な社会の構築のための」とされることもあります。頭文字をとってESDと呼ぶことが一般的です。

「持続可能な社会」とは、地球規模の環境破壊や、天然資源の保全が問題化している現代において、将来世代が健康で文化的な生活を営む社会のことです。貧困、保健衛生、教育、差別などの問題を克服・解決し公平な社会が前提ですし、戦争や紛争は環境を破壊するため、平和への取組みが不可欠です。

ESDは学校に限らずあらゆる領域から、国際機関、各国政府、NGO、企業等あらゆる主体間で連携を図りながら推進する必要があります。この範囲は、環境、福祉、平和、ジェンダー、子どもの権利、紛争防止教育など多岐にわたります。

2002年の国連総会において日本が提唱し、05年から14年までの10年間を「持続可能な開発のための教育の10年」として各国が取り組むこと、その推進機関を国際連合教育科学機関(ユネスコ)とする議決がされています。

しかし2010年現在、もう半分過ぎてしまったのに、提案した当の日本であまりにも周知されていません。杉並区にぜひ積極的に取り組んでほしいものです。

ESDで取り組む内容は目新しいことではありません。現場に新たな負担を増やすものでもありません。区はすでに、総合的な学習の中で環境、人権、国際理解教育などに取り組んできています。ただESDとして認識されていません。

だから、現在直面している地球的な規模の諸課題を前に、これらのさまざまな機会に行われている学習を、「持続可能な社会づくり」という概念で整理しつなぐこと、それを学校や地域社会全体で共有し、具体的な行動につなげることの重要性を強調したいのです。