議員提出議案「議員の期末手当を廃止」条例、否決に

通らなかった1億5,000万円の歳出抑制案

昼休みの区役所前で
昼休みの区役所前で
10月8日、区議会定例会が閉会しました。最終日に区議会生活者ネットワークの市橋・小松の2名と「みどりの未来」の奥山たえこさん、すぐろ奈緒さんの4名で「議員の期末手当を廃止する」議員提出議案を出しました。

生活者ネットワークはかねてより「議員は常勤職員でも非常勤職員でもないのでボーナス(期末手当)はふさわしくない」と考え、昨年11月の区議会で期末手当減額の議案が審議されたときもそのように意見を述べています(こちら)。

地方自治法第92条で「議員は常勤職員ではない」ことが読み取れますが、「非常勤職である」とも書かれていません。地方公務員法第3条に定めた「特別職」に相当します。特別職というなら、区長、副区長、教育長と同じ位置付けになりますが、その働き方はあまりにも違います。

議員の働き方は人によっても異なりますが、それは「議員の働き方を規定したルールがない」ことにもよります。だから福島県矢祭町のように議員の報酬を「日当制」にした自治体も出てくるわけで、矢祭町では期末手当も廃止されています。

矢祭町のようなことができるのは、議員の報酬は「生活給ではない」、しかも「期末手当は自治体の裁量で決めていい」からです。

杉並区では2009年度、議員の期末手当としてひとり約311万円、議長に約477万円、副議長に約409万円が支出されており、廃止すれば合計1億5,000万円、区の歳出抑制に寄与することになります。条例案の附則に「公布の日から施行」とし、来年度予算の編成作業にあたる今の時期に提案したのはそのためです。ここで可決されれば来年度予算にさっそく反映させることができます。

ちなみに杉並区の議員報酬は年間約1,060万円で、一般社会人の給与に比べて低いとはいえません。議員の仕事とは何か、報酬はどうあるべきか、という議論が必要なのは言うまでもありませんが、いつ実現するかわからない議論を待つより、それとは切り離して仕分け可能な項目なのがこの期末手当なのです。

だから私たちの提案はまっとうな提案だったのですが、事前の説明活動が不足していたのか、心ないヤジを浴びせられたうえ賛成少数で否決となってしまいました。ただ、本質的な議論が少しはできたこと、問題を提起できたことは成果だと思うことにしています。