「新しい公共」のひろがりとともに期待される「市民後見人」

2010年第4回定例会 議会質問より②

成年後見制度の趣旨は、歳をとっても障がいがあっても、もてる能力を活用して自己決定権が尊重され、家庭や地域でくらし続けることができるような社会を形成するという、ノーマライゼーションの理念にあるといえます。

それは人が助け、助けられることがあたりまえの地域社会であり、そのためには専門的知見や技術をもつ専門職後見人だけでなく、生活のこまごました相談にも対応しうるボランティア的な後見人「市民後見人」の存在が必要となるはずです。

杉並区では2008年に一度すぎなみ地域大学で「区民後見人」養成講座が開かれたこともあり、その後登録者が区内には6人いますが、現在のところ区民後見人としての業務を行っているのは1人だけです。成年後見制度の利用が伸び、区民後見人をめざす人が増えているのになぜだろう、と思います。

たしかに法律知識や専門的知見が必要とされないことが前提であるため、申し立てる側からすればいまひとつ信頼を寄せることができないのかもしれません。しかしボランティアスピリットある人材の活用が図れないでいるとすれば、もったいないことです。

人材活用の面からも、区民後見人やその研修修了者が学習を継続し知見を深めたり技術の向上を図ったりすること、区民後見人同士の情報交換や交流することは重要であり、そのような場を後見センターは設けることが必要です。

「新しい公共」の進展とともに市民後見人のニーズがこれから広がっていくことは確実です。団塊世代の地域への還流にそって杉並でも市民後見人をめざす人材は今後さらに増えていくと思われます。

区民後見人の登録者には、社会福祉協議会で行われている地域福祉権利擁護事業の「生活支援員」として活動しつつ実践を積んでいる人もおられます。区民後見人の活用と人材育成についての今後の方針を質問したところ、区は、成年後見活動を推進する貴重な人材として、今後の活動支援を行っていく考えであることを示しました。