チャイルドラインは1998年に世田谷で実験的に始まりました。09年には全国統一フリーダイヤルが導入され昨年3月31日現在、39都道府県、68団体で実施されています。昨年1月から9月までの9か月に、全国で12万3千件、東京都内ではその10%にあたる1万件の着信がありました。
深刻な悩みを打ち明ける子もいますが、すぐ切れたり無言だったりが半数近くあり、一言やお試しが2割で、会話が成立するのは3割に過ぎません。それでも、電話を通して人とつながることで自分の居場所を確認できる子にとっては、必要なツールなのです。そうしなければいられない子どもの孤独が見えます。
09年度の集計では、会話が成立した電話の内容は、男子では性に関することが26%、女子は人間関係が23%で1番多く、2位は男女いずれも雑談・話し相手となっています。雑談ができることが重要です。たわいない雑談を何度かへてようやく、虐待を受けているというようなことを打ち明ける場合があるからです。
電話の「受け手」と呼ばれるスタッフは、子どもが自覚のないまま性的被害・性的虐待を受けている事実がわかったとき、本人が被害を認識するように、よりそって対応します。子ども自身が問題のありかを認識して解決を求めてくる相談とは違って、本人に自覚がなくてもかけられるチャイルドラインは、子どもにとって「話を聞いてくれる」「自分を受けとめてくれる」貴重な窓口になっています。
子どもからそのように信頼を得てきたのは、「ヒミツをまもる」「どんなこともいっしょに考える」「名乗らなくていい」「切りたいときは切っていい」という4つの原則が貫かれてきたからであり、非営利の民間組織であればこそできたことといえます。
ただ、普及・啓発には行政の支援が欠かせません。杉並区でもチャイルドラインのPRカードが、教育委員会をとおして学校で子どもたちに配布されています。
区立小学校全校の4年生と6年生を対象に、合計2,886枚、中学校の全学年生徒に6,409枚、合計12,260枚が昨年秋に配られました。杉並区内にはチャイルドラインの活動組織がないため、これらは中野区内の活動団体が負担し、中野経由で配られています。