だから意識的にそういう機会をつくったほうがいいのです。
杉並区内の中学校で「赤ちゃんふれあい体験」を実施しているところもありますが、これは運動グループ地域協議会の企画。8月20日、グループ所属団体である保育グループの協力で、小中学生が赤ちゃんの成長や接し方について学んだあと、保育所の赤ちゃんと実際にふれあう、というものです。
赤ちゃんについて教えてくださる講師は、檜谷(ひのたに)照子さん、元杉並区保健師で、退職後のいまは産後の家庭訪問活動などをされています。
緊張気味の小中学生にとって、自分が赤ちゃんのときの写真を持ち寄って、「こんなに小さかった。かわいかった」と話すことはとてもよい導入になりました。生まれた当初の赤ちゃんが泣く、吸う、見る、聞く、まねる、泣き止む、握る力を持っている…などには、彼らだけでなく大人の参加者もちょっと驚きでした。
小中学生は実際の赤ちゃんと見つめ合い、こわごわ抱き上げ、ひざに乗せて一緒にあそび、最後には「楽しかった」とだれもが言ってくれました。何より、檜谷さんの言葉や人形を使っての実習の手つきに「赤ちゃんに対する尊敬」の念ともいえる気もちがあふれ出ていたことが感動的ですらありました。
産後のつらいときや子育てで悩む人が檜谷さんのような保健師さんに出会えれば、きっと虐待など起きないのでは、と思います。
昨年8月、杉並区内で3歳の女の子が里親の虐待により死亡していたらしいことが、この日の新聞に掲載されました。40代の里親に何があったのか、これから明らかになっていくのでしょうが、檜谷さんのような存在がこの人の周辺にいればこんなことにならなかっただろうに、と思えてなりません。