わたしとミシンの物語

思えば40年以上つき合ってきた

これは10年前の作品
これは10年前の作品
私が出会った最初のミシンは母のミシン、TVドラマ『カーネーション』のタイトルバックに出てきたような、黒塗りの足踏み式です。6年生の夏休み、母が縫いかけて先に進まない私のブラウスを自分で完成させたのが初めての「作品」でした。

高校生のとき、誕生日でも何かの記念でもないのに、父がなぜか突然「久子は縫うのが好きだから」と言い私専用のミシンが家にきました。そのころの電動ミシンはスロースタートができず、いきなり高速で動くので指先を何度か怪我しましたが、やがて慣れました。

その次は結婚してから、内職などでこき使って調子が悪くなり、ジグザグ縫いできるものが欲しかったこともあって、ディスカウントショップで買ったもの。

中古品だったからなのか、4〜5年したら縫えなくなり、修理を頼むと「部品交換が必要だが取り寄せるので数万かかる」と言われ、下取りしてもらって次のを買うことに。多機能でひらがなやアルファベットの刺繍ができ、子どもの持ち物や自分のシャツブラウスの胸ポケットなどに名前やイニシャルを入れて楽しみました。

このミシンはNYにも持って行き、6年間の米国生活で服の直しやリフォームを人から頼まれて受けたりし重宝しましたが、日本に帰ってきたら動かなくなりました。電話帳で代理店を探し、そこから紹介された修理屋さんに来てもらうと、「使い過ぎで金属部分が摩耗しているので部品交換でも直らない」。

そして買ったのが今のミシン、17年前のことです。「マイコン式」といってコンピューター内蔵なので素人には修理不能、具合がわるくなったら自分でいじらずにすぐ連絡して、と買うとき言われましたがその販売店はバブル崩壊のころ倒産してしまいました。

今年になって孫の保育園グッズを縫おうとしたらどうにも調子が悪く、インターネットで修理店を探し注文して宅配便で送り、再び使えるようになりました。

黒塗りの足踏みミシンは中学生の私にも修理できましたが「マイコン式」はそういきません。もしも私の人生で次のミシンを買うことがあるなら、直線縫いだけの「足踏み式」にしようと『カーネーション』をみて思ったところです。