5月19日に世田谷で開かれた、社会学者の宮台真司さんの講演もそのひとつ。何しろ宮台さんは「原発都民投票」の発案者です。直接請求の請求代表者のひとりでもある。「原発稼働の是非を国民投票で」という運動がいまひとつというもどかしさの中にあったころ、「都民投票」を提案したのが宮台さんです。
東京という電気の大消費地で、原発に対する消費者の側からの意思表明が「投票」という形でできる!——という提案がどんなに多くの人をわくわくさせ、ここまで突っ走らせてきたことか。
宮台さんが何度か繰り返した「都民投票の目的、それは原発を止められない社会をやめること。」というフレーズが本質を言い当てています。また「電気が足りなくなるから原発は必要」論に対して「大停電のリスクは予測・規定可能。だが原発によるリスクは不可能」という反論の、なんと明快なこと。
停電と原発のリスクを秤にかける方が間違っています。そのような原発を「やめられる社会」にするために住民投票が必要、という理論に都議は党派を超えて賛同してほしいと思います。がしかし。現実は生易しいものではないらしく…。
この日のもう一人のスピーカーは保坂展人さん、世田谷区長です。
衆院議員時代の07年、中越沖地震後に柏崎刈羽原発を視察し、危険な現場について告発の記者会見をしたのに大メディアはほとんど無視したこと。国会内で議論の場を求めたときになぜか「ウフフ」と笑ってすませられたこと。
区長として東電に対し「リアルタイムでの消費電力の見える化」を求めて何度も働きかけているが「できない」と言われる不思議。
原発についての議論を「ウフフ」でかわされる空気はそこかしこ、杉並区議会にも充満しています。住民投票はこういう社会をやめるのに絶対有効なツールだと思うのです。