父子家庭より母子家庭のほうが貧困、高齢男性より高齢女性のほうが貧困、と知っていましたが「女性はほぼ全年代で男性より貧困」と改めて認識させられました。貧困にも男女差がある。それを裏付けるデータがいろいろ示されました。
統計上「家事手伝い」という分類にくくられてしまう若い単身女性の3分の1が貧困、女性の半分以上が非正規雇用、とくに若い女性の非正規化が激しい、などをグラフで突き付けられると、驚かずにいられません。
非正規労働者の層をグラフで表したときの男女差を、赤石さんは男性が「薄皮まんじゅう」、女性が「肉まん」とたとえました。層の厚みが男女で全く違うのです。若者の貧困がいわれるようになっていますが、そのときの「若者」というのはほとんど男性を指しているように思います。
若い女性向けの「寮・託児完備」の仕事としてキャバクラの求人ウェブサイトが紹介されました。仕事を探しているシングルマザーにとって、住むところと託児が保障されている職場はきっと魅力的に映るだろうと想像されます。
反貧困ネット事務局長の湯浅誠さんが説いていた「貧困問題の見える化」の必要は、「女性の貧困」にも見事にあてはまります。社会保障と税のあり方の視点からこの問題を見たとき、女性の賃金が低く抑えられている背景に「専業主婦=マジョリティーという信仰・神話」がある、という指摘も見逃せません。
男性だけが働き女性は家事・育児を担当するのが一般的、という考えが幻想でしかなくなったいま、「男女平等」の社会を実現させる必要を改めて感じます。そのために年金や社会保障のしくみを変えなければなりませんが、まず「女性の貧困」について社会がひろく認識しなければ始まらないんじゃないか。そう思います。