海で逝ってしまったあなた 中崎裕美さんの早すぎた死を悼むお別れの会

中崎裕美さん、安らかに…

8月8日に旅先の与論島で突然逝ってしまった中崎裕美さん。8月14日に開かれたお別れの会で述べた別れの言葉を下に掲載します。

 

裕美さん。私があなたを知ったきっかけは、生活クラブ生協の広報紙に載った「月見猫」というペンネームのイラストでした。10年以上前のことですが、「月と猫」の力強い描線を今でも覚えています。それから、生協の試食会や料理講習会、豚肉の学習会、環境問題を考える集会など、あらゆる場面に、幼いユズ君と、その後生まれたナナちゃんを連れて、ほかのだれにも真似のできないパンクなファッションで決めて、あなたはさっそうと現れました。 

ナナちゃんにお乳をふくませながら、ユズ君が走り回っても動じないあなたは、すばらしい感度で、母親としての視点を外すことなく、世の中の矛盾や課題をキャッチし、アーティストの表現力で発信し続けました。広報紙には月見猫・作「続ペンギンの日々」という4コマ漫画が毎月欠かさず連載され、ファンを増やしました。やがて私たち生活者ネットワークの仲間になってくれ、かけがえのない存在となっていきました。 

去年の12月から今年2月まで、私たちが必死に取り組んだ原発都民投票の署名集めは、あなたなしに杉並であれほど活動を豊かに展開することはできませんでした。あなたはスタッフとして事務所を回し、街頭署名のスポットに、山のように荷物を積んだ自転車で現れ、臆せずマイクを握って、スピーチの腕をどんどん上げました。 

そして6月、杉並区が募集した荻窪の将来を描くアイデアコンペでは、完成度の高い応募作品に仕上げました。「荻窪を山羊とミツバチのいるまちにしよう」、山羊とミツバチをまちづくりのツールとして、都会に農的産業を起こそう、というコンセプトを見事なパノラマのイラスト作品として仕上げたのはあなたの才能です。1次審査で惜しくも落選してしまいましたが、今日お集まりのみなさんに見ていただけるよう、パネルを会場に展示しています。 

裕美さん。ついこの前の会議の席であなたが言った「3.11以降、子どもといる時間が何よりも大事なものになった」という言葉をいまかみしめています。大切な仲間を失った私たちがどんなに悔しいか、それはたぶんあなたが考えている以上です。でもご主人と子どもを残して逝かなければならなかったあなたの無念さのほうがずっと大きいでしょうね。 

誰よりも海が似合うあなたが海で逝ってしまうなんて、悲しすぎます。これから先、8月の海と南の島を思うとき、あなたを必ず思い出すことになるでしょう。 

裕美さん、あなたと出会えてよかった。そして、ありがとう。安らかに眠ってください。