多様な学びが保障される法整備をめざして
いじめが深刻な社会問題として認識され、不登校が珍しいことでもいけないことでもなくなり、学校外の学ぶ場として、いわゆる「フリースクール(FS)」が存在感を増しています。NPO法人「フリースクール全国ネットワーク」にはいま北海道から沖縄まで45団体が所属しています。
それだけFSを必要とする子どもが増えている、すなわち「社会が必要としている」のに、FSは学校教育法が認めた「学校」でないために財政面で不利益をこうむっています。一部の例外を除いて公的な資金援助を得られないからです。
FSを社会的に認められた存在とすることは、子どもの学びの場を従来型の「学校」に限定せず多様なあり方を認めることです。FSの位置づけを定めた法律がほしい、とFS全国ネットが中心となって7月に設立された「『(仮称)オルタナティブ教育法』を実現する会」の総会が開かれるというので参加しました。
10月8日、早稲田大学の会議室にいっぱいの参加者は全国各地から集まっていました。この日のメインは、提案された法「子どもの多様な学びの機会を保障する法律」の骨子案についてのグループディスカッション。骨子案はよく練られていると思いましたが、議論が深まると課題も見えてきて、FSの現場にいる人の実感なども聞けて刺激を受けました。
国会議員が4人、全員男性、民主党でしたがあいさつに立ち、鈴木寛・参議院議員はこの法整備運動に長くかかわってきた立場から、これまでの経緯や現状の到達点、今後に向けた展望などを熱く語りました。
法律の案が固まるまで、まだ多くの議論が必要だろうし、国会の中で議連を形成するにもハードルがありそうです。でも、学校外の教育に対して市民権を与えていこう、それを法的に位置づけよう、という動きがここまで進んだのは「民主党政権だから」だ、と鈴木氏の話を聞いていて思いました。
原発問題や社会保障政策の迷走、沖縄問題の明らかな失政、外交問題に対する無策など、失点を数え上げればきりがないような現政権ですが、こんないいことをしていたんだ、と軽いショックを受けました。
この会の活動に対し、昨年設立されたNPO「ソーシャル・ジャスティス・ファンド」がその第1回目の資金融資を決めたことが10月12日の朝日新聞に紹介されています。私もこのファンドの出資者の端くれですが、はしくれとしてはFS支援に協力できて誇らしく思います。