海峡を越えて同一の関門景観条例 ~都市環境委員会の視察より②~

10月31日、久留米の視察を終えるとその日のうちに北九州市の門司へ移動して宿泊。門司は貿易港として栄えた古き良き時代の面影を景観に意識的に採り入れたレトロなまちなみが魅力的です。夜、関門海峡をつなぐ大橋のライトアップは思ったより抑え気味でしたけれど。 

翌日は、唐戸桟橋から連絡船で関門海峡の反対側、山口県下関市へ。両岸とも海風が強くて気を許すと飛ばされてしまいそう、潮の流れは日に4度変わるという、潮と風の激しいところです。下関市役所で2か所目の視察でした。 

調査項目は「関門景観条例」。下関と門司の2つの市でまったく同じ名称、同じ条文で制定したという、珍しい条例です。 

もともと下関市民にとっては山口県より北九州市のほうが近い存在、というのはわかる気がします。地続きの感覚なのでしょう。行政レベルでも図書館の相互利用や施設の高齢者割引制度など県域を越えた連携がされてきたそうです。 

そのような歴史的背景があり、両市を一体的にとらえて景観形成を図る取組みの根拠となるのが、関門景観条例です。2002年に制定され昨年10周年とのこと。具体的には、山や海など自然の形状を生かした景観とするために、建築物の配置、形態から高さ・色彩まで制限をかけるルールを定めています。 

この一連の取組みの事務局を下関市が担っているのですが、門司のまちなみの洗練された統一感と比較して下関のまちは雑然としています。市職員もそのあたりを課題として門司にライバル意識を燃やしていました。 

5年前から活動している「門司港まちなみづくり協議会」は市民が主体で、学識経験者や専門家を交えて個別具体的な案件についても事業者に対し提案を行っているといい、まちづくり活動を楽しむ市民がここでも増えているようです。 

ところで山口県といえば、今夏の知事選挙、原発計画地の上関、そして米軍基地を抱える岩国。候補者としてたたかった飯田哲也さんもこのまちを走ったんだろうか、上関や岩国でも景観に対して規制をかけたらどうなんだろうか――。など、つい考えてしまっていました。