「善福寺川を里川に」 子どもたちの活動が後輩に引き継がれる
杉並区の「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」、事業名にしては粋なネーミングです。この事業は09年に方針化され毎年シンポジウムが開催されています。1月26日に開かれたシンポジウムでは、観察できた水鳥の数が増えたことが副区長から報告されました。
今年の一斉調査では、例年1,500~1,800羽だった水鳥は2,048羽、37種類が観測されたそうです。活動の成果か、自然環境が改善したサインか。いずれにしろいいニュースです。
この日いちばん心を動かされたのは、子どもたちの基調報告でした。昨年の「善福寺川フォーラム」でも発表した(こちら)、井荻小学校の子どもたちの活動。「善福寺川が学校の敷地内を流れている」井荻小学校の6年生が、自分たちの発意で「川をきれいにしよう」と3年前から始めた清掃活動です。
かれらは実際に川の中に入ってみて、川岸の草にからみついている白いものがトイレットペーパーだということに気がつきます。つまりトイレで流した水が川に入ってしまうということ。そしてその原因が、雨が降るとその雨水が下水管に入るため、いっぱいになった下水管から汚水が川に流れ込んでしまうという「合流式」の構造にあることを学びます。
一方で川の中の湧水がどんなに貴重なものか肌で感じ、また川辺にはタバコの吸い殻や紙ごみなど「大人が捨てたごみ」の多いことを調査でつきとめます。学んだことから「善福寺川を里川にもどす」ために何が必要か考え、発信します。たとえば、雨が降ったらなるべく洗濯をしない、お風呂の栓を抜かない…などの具体的な提案や「下水のしくみを分流式にして」という要望には実感がこもっています。
子どもたちの活動範囲は善福寺公園の清掃にまで広がり、その活動を毎年6年生に引き継いでいます。この一連の活動の継続と進化を大人たちが支え、助けながら一緒に参加しているのもいいなあ。地域ぐるみの総合学習で環境教育、しかも実践型で。
「善福寺川を泳げる川にする」というかれらの願いをかなえるために、大人もがんばらなきゃ、と思わずにいられません。