議員は「政務活動費」で新年会費を支出していい!? 改正条例に異議あり議員提案

昨年8月10日、うだるような暑さの季節、通常国会で地方自治法の改正案が可決されました。地方議会の政務調査費についての根拠を規定した100条14項・16項を「改正」する内容です。3日前の衆議院総務委員会で民・自・公・生活の議員6名が共同で提出し、この日わずか3時間の審議で可決されています。 

悪評高かった「決められない政権」下にしてはあっけなく、しかも国民に知らされることなく決定した「改正」。それは何かというと、政務調査費を「政務活動費」に変え、交付目的に「その他の活動」が加わって調査研究以外の議員活動にも充てられることになった、というのが1点。2点目は、議長が透明性の確保に努めることになった、ということです。 

1点目の「その他の活動」に何が充当するのかは、各自治体が条例で定めることになっており、杉並では第1回定例議会に諮られることになりました。昨年秋から議会運営委員会理事会では、条例の内容や議会の手続きなどをめぐって検討してきました。条例案は「パブコメに付して区民意見を聴取すべき」と私は主張したのですが、法で3月1日施行と決められているから時間がない、と一蹴されました。 

「何に使えるのかを条例で決める」というのは拡大解釈すると「好きに決めていい」ということになり、曲者なのです。じつはこの法「改正」そのものがとても「正しい」とはいえない「改悪」である、として全国市民オンブズマンは昨年8月26日、弘前大会において「地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する決議」を採択しています(こちら)。

 すなわち「およそ議員の調査研究と関係のない使い方をも合法化できる余地を広範に与えることになる」とし、政務調査費を「再び野放しにし議員の第二給与に逆戻りさせる驚くべき悪法に他ならない」とまで批判しています。だから杉並はそんな条例にならないように注視していました。しかし――。

 条例の内容について、政務調査費調査検討委員会で出された<案1>に、「生活者ネット・みどりの未来」はとても賛同できないので別の<案2>を提出。2月15日の本会議で2つの議案が議員提出議案として出され、2月18日、付託された議会運営委員会で審議されました。

 「ネット・みどり」案は、収支報告書と出納簿をホームページで公表することを義務づけた以外は基本的に現行の条例と同じ。一方、自・公・民の27人の<案1>は新年会・忘年会などの会費にも使えることが明らかになりました。宴席は「住民からの広聴の場」というこじつけです。 

<案2>に賛成したのはネみと共産党だけ。<案1>が賛成多数で決まり。杉並区議会はこれまで議会改革のトップリーダーと誇ってきたのに…恥ずかしいことです。