憲法96条改正が「国民投票のハードルを下げる」というまやかし

4月7日、脱原発杉並デモで

安倍首相が「憲法96条を参院選の争点に」と言い出してから、7月の参議院議員選挙に向けて憲法改正についての議論が盛んです。といっても、首相がやろうとしている「96条改正」は「憲法改正のための発議のハードルを下げる」ということであり、改正そのものの中身についての議論は先送りされています。 

改正(したいこと)の中身は、自民党が発表している草案を見れば明らかなのですが、そのことについてはろくに触れずに手続きを先に変えてしまおうとするのは、まったく解せません。ほんとうに変えたいなら、それについていまの96条にそって「国会で3分の2がとれるよう」努めることこそ、まずすべきではないのでしょうか。 

同じく手続きを変えたい他政党も「3分の2が無理そうだから過半数に」ということですが、「変えたい」中身については微妙に、けれど明確に違うようで、それなのに手を組んで96条改正に向けて突っ走る動きには警戒が必要です。 

憲法改正は最終的には国民投票で決められるのだから、「国民投票をしやすくする」、「国民投票実施のためのハードルを下げることだ」という論に至っては笑止千万、「原発の稼働の是非について住民投票で決めたい」という東京はじめ全国各地での直接請求をどこでも退けておいて何をいうか、です。 

こんなまやかしに騙されてはいけません。だいたい、改正の前に「いま憲法がちゃんと生かされているのか」を検証すべきではないのでしょうか。 

国家権力から国民を守るはずの憲法は、正しく機能しているか。「1票の格差」も放置され、原発のような非人間的システムを改めることもせず、貧困も障がい者差別も解決できずにいて、憲法にうたわれた基本的人権の尊重が保障されてなどいないのに。