「特定秘密保護法」 秘密隠蔽社会と市民監視社会はコインの表と裏
「小田実文学と市民運動を考える会」主催の「特定秘密保護法案の欺瞞を見逃すな! 市民と議員の法案阻止集会」が11月22日、参議院議員会館で開かれ、この集会の呼びかけ人に加わっている東京・生活者ネットワークを代表して私も発言しました。
安倍首相が制定を急ぐ秘密保護法の本質は、政府が国民に教えたくない情報を合法的に隠蔽できるということです。しかも情報を漏らした人どころか求めた人、そうと知らずにアクセスした人まで処罰される。新聞記者や公務員でなくても、ふつうの市民生活まで脅かされることになる法律です。
国会の議論でこの法案の悪質さがようやく知られるようになり、ジャーナリストも弁護士も作家も出版者も演劇人も、杉並区民も八王子市民も、多くの人々が反対の声を挙げています。
「国民の知る権利」を真っ向から否定し、安全保障に対する国民の「義務」が民主主義よりも高い社会規範であるとする考え方は、私たちが曲がりなりにも民主的な法治国を築こうと積み上げてきた歴史も、多くの犠牲を払いながら自由と権利を獲得してきた努力も無に帰してしまいます。
とくに重要なことは、情報隠蔽社会と市民の監視を強めようとする社会は表裏一体、コインの表と裏だということです。秘密保護者会は市民の自由を奪い、暮らしは間違いなく息苦しく希望のないものになります。
東京都の教育委員会というところは、学校の先生たちに「歌わせる」ことに熱心ですが、会議の傍聴者に対する監視も異常に熱心に行っていたことがわかりました。20人以上は絶対にいれない傍聴人に10人の監視員をつけ、1人が2人を担当して傍聴中の行動・言動をこと細かく記録していた。
戦前のことではありません。つい最近の7月から8月のことです。秘密保護法などなくても、目をつけた人物の情報は手段を駆使して入手してきたし、原発事故後の放射能汚染情報も、沖縄返還にあたっての密約の情報もしっかり隠されてきました。
安倍政権は東アジア諸国との関係改善を自分で怠り、自ら生み出した緊張を利用して、「安全保障をめぐる環境が変わった」として、憲法の三大原則と立憲主義を本気で破壊しようとしている。こんな欺瞞は許せません。
こんな法律を通してしまったら、この国は歴史に禍根を残すことになります。廃案にするしか方法がありません。