高校生に自衛隊駐屯地で防災訓練させるな ~文教委員会の質疑より~

11月27日の文教委員会で、都民から出された「都立高校の防災訓練における自衛隊との連携及び駐屯地での宿泊訓練の中止に関する陳情」について審査が行われ、質疑を行いました。

 今年7月26~28日の2泊3日間、都立田無工業高校生34人が自衛隊朝霞駐屯地で防災教育の一環として宿泊訓練を行ったことに対し異議を唱え中止を求める陳情です。都の言い分は、「昨年2月に策定した『都立高校改革推進計画第一次実施計画』に基づき、社会貢献意識と実践力を持つ人間を育成するために実施したもの」という…。

 宿泊防災訓練は全ての都立高校で実施され今年で2年目ですが、「防災教育推進校」15校では他の提携先機関の施設に宿泊するとしています。ただ連携先はほとんどが消防庁であり、今年、日本赤十字社と自衛隊が加わり、自衛隊と連携した学校は田無工業だけです。

朝霞駐屯地に宿泊させ訓練を行った目的は何か質問すると、「自衛隊員から防災にかかわる知識や技能を体験的に学ぶだけではなく、集団での規律やルールを学び、災害時における実践力を育成すること…うんぬん」との答え。

 実際に行ったことといえば、「応急救護訓練、応急担架の作成・搬送、ロープワーク、止血法、包帯法等の実技と阪神淡路大震災や東日本大震災時の災害派遣活動の実際に係る防災訓練講話等・・・」といいますから、自衛隊でなくても学べるような内容です。

 私は、下のような意見を述べて陳情を採択するよう主張しましたが、教育庁の「被災地の復興に向けて自衛隊員の強い志を講話の中から学ぶことができ、地域に貢献しようとする意識が向上」するので「今後とも自衛隊等と連携した宿泊防災訓練を推進」する、との答弁に同調するかのように、反対多数で不採択とされてしまいました。 

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 東日本大震災の経験が教育施策に残した教訓のひとつは、防災教育の大切さです。災害に備えて日常的にさまざま準備しておくことや、災害時に生き延びるためのスキルを身につけること、それを学校の授業として行うことが必要であることは言うまでもありません。

 一方、自衛隊は、国際法的には軍隊とみなされ、災害被災地に赴いて救助救援活動を担うことがあるものの、他の国の紛争地帯に派遣され軍事的な活動に従事することもある組織であり、教育現場との連携には慎重でなければならないと考えます。

 今回の田無工業高校の訓練に関しては、学校長が決定し保護者からの異論もなかったと聞いていますが、学校教育における防災訓練が、自衛隊駐屯地で実施されなければならない必要性は、質疑を通して認められませんでした。高校生が災害時におこなう地域貢献活動としては、自衛隊ではなく、地域の消防団や防災会との連携こそ進めるべきです