都いじめ防止条例に「子どもの権利」明記を
- 都議会文教委員会予算審査の質疑より③
学校でのいじめによって子どもが自ら命を断つ事件が後を絶たず、久しく深刻な社会問題となっています。いじめは「いじめる側=加害者」と「いじめられる側=被害者」の対立構造だけに目がいきがちですが、一方を処罰の対象、他方を保護すべき側という枠でとらえていては真の解決にはならないと思います。
対症療法や、大人の側からの道徳的な価値観の押しつけではない、教育的な取り組みが必要です。子ども自らの問題解決力を育み、その力を引き出すこと。そして教師の適切な対応がいかに重要かは、子どもが不登校になる原因で最も多い「いじめ」のなかでも、先生に相談したけれど分かってもらえなかった、まともに受け止めてもらえなかった、というケースが一番多いということからもわかります。
その意味で、都教委がいじめの問題解決に向けて取り組んできたことには注視してきました。昨年来、専門家会議を設置し、答申された報告書をもとに先ごろ「いじめ防止教育プログラム」を策定しています。ここで示されている内容と、これをどのように活用していくのか、質問しました。
世田谷区で昨年開設された、子どもの相談救済システム「せたがやホッと子どもサポート」の実績でも、最も多い主訴はいじめで、いじめている側からの相談もあったといいます。いじめる側もいじめる側にとっても、第三者的な場から子どもに寄り添う大人の存在が求められます。学校外の機関などで相談できる体制を整備していくことが必要と考え、見解を問いました。
答弁は、各学校でのスクールカウンセラーの協力による相談体制や、都教育相談センターでの24時間対応のいじめホットラインなどの取組みについて述べ、電話番号を載せたリーフレットによる周知・啓発を行っているとのことでした。
「いじめ防止教育プログラム」の中には、実践例にNPOや民間が開発したいじめ防止プログラムが挙げられ紹介されています。また、生徒会の活動として子ども自身が取組む杉並区の事例も。このようなさまざまな実践を後押しし、成功例や失敗した事例などが共有できるように、啓発してほしいと思います。
都は次年度にいじめ防止のための条例制定を予定しています。いじめから子どもを守るための法的なしくみとして理念を規定するのだから、子どもを権利の主体として位置付け、その自由を保障することをきちんと明記すべき、と最後に要望しました。