都知事がいう「女性の活用」と聞いて何を思うか“ローザ・ルクセンブルク”

学校の入学式に列席した帰り、思いついて映画をみてきました。『ローザ・ルクセンブルク』、女性革命家の元祖のような人の半生を描いた旧西ドイツの作品です。つくられた1986年はまだドイツが統一されていなかったので、旧西ドイツ。でも30年近く前の映画と思えないほど、いまの時代に通じるメッセージが伝わってきました。 

ローザが生きた1871年から1919年、19世紀から20世紀にかけての時代、女性が学問を志すだけでも難しかったろうと思いますが、政治や哲学、経済学…などを学び、マルクス主義を極めて政治活動家として活躍します。しかしそのことは、彼女の人生が必然的に、時の権力側から疎外され迫害を受け続けることを意味します。 

映画はローザが拘禁されているところから始まり、それからくり返し何度も何度も、監獄に収監されます。捕らわれれば人権などなく拘禁生活は過酷を極めるのに、釈放されても政治活動をやめないので、また捕らわれてしまう。最後は捕まって銃で撃たれ川に捨てられます。 

ユダヤ系ポーランド人ですが後にドイツ国籍を取得したローザが、ヨーロッパの各国や地域が政治的混迷と革命闘争に揺れた時代を、知性と強い意志に裏付けられた行動力で自らの人生を切り開きながら生き抜く姿は、当時日本では明治・大正だったことを考えると、信じられないほど先進的です。 

監督は、去年みた映画『ハンナ・アーレント』を撮った女性、マルガレーテ・フォン・トロッタ。主演もハンナを演じたのと同じ俳優です。そうか、ハンナ・アーレントのルーツはローザ・ルクセンブルクにあったんだ、と深く納得しました。 

下高井戸の映画館は観客の8割以上が女性、ほとんど私と同年代かそれ以上で、ローザからハンナに続く系譜に共通するマインドを持つひとたち、のように見受けました。 

首相や都知事がいう「女性の活用」という言葉には、うさん臭さがつきまとっている気がして仕方ないのですが、女性性に絡め取られず社会に根を張って生き抜いたローザがこの言葉を聞いたら何と言うだろうか。いやそれより、首相や知事がこの映画を見てどう思うのか、聞いてみたいです。