大震災から3年 被災地のくらしと産業をたどる旅~①

 

大河原雅子さん、カキ漁師の小川さん(中央)と

41416日の3日間、被災地をめぐる視察に行ってきました。前国会議員の大河原雅子さん、生活者ネットワークの仲間2人も同行です。福島県浜通りの地域を訪れ、いまの農業や漁業の置かれた状況を見聞きする旅。心痛む中にも、希望が見えたところもありました。 

最初に訪れたのは、宮城県漁協の十三浜支所運営委員長、佐藤清吾さんが住む仮設住宅です。津波で家も家族も失いひとり暮らしですが、漁協の立て直しの担い手として漁師仲間から頼られ、浜の主力海産物であるワカメを復活に導きました。ことばの端から原発に対する怒りと反感があふれ、漁業復興特区方針に懐疑的、TPPにも反対です。 

石巻市の長面(ながつら)対岸の尾ノ崎では震災から3年たった今も水道が復旧していない地域がありました。でもそこでカキの養殖が復活されていました。「里山」という言葉があるように「里の浦=さとうら」の再生を提唱する漁師の若者と、津波からの生還を100年語り継ぐ「語り部」になると決意して活動するその姉も、カキ漁を生業としています。

姉弟がいま一番心配しているのが、ここの浜で計画されている「スーパー堤防」です。8.4m高さの防潮堤ができたら地形も潮の流れも変わってしまう、海の恵みの魚介類の生態系が変わってしまう、と危惧する声は、十三浜支所の佐藤さんからも聞きました。漁師の多くの反対を押し切って決まってしまったそうです。 

高さ8メートルの城壁のような建造物が海岸線に沿ってはりめぐらされたら、見た目の景色が激変するだけでなく、暮らしが一変するほどの障害だろうと思います。問題なのは、もし2011年と同程度の津波がもう一度起きたら、それでも壁をゆうに超えてしまうことです。 

巨大津波を経験してしまったいま、災害を防ぐために何をしたらいいのか。消えてしまった地域を取り戻すこと、つくり直すことにどう知恵を働かせるのか。被災地ではまだ戸惑いが晴れぬまま、少しずつ進んでいる状態です。