都営霊園に樹林墓地をもっと ~決算特別委員会の質疑より⑥

超高齢社会となり「多死」の時代に入った現在のお墓は、家族制度と密接に結び付いた旧来のあり方にとらわれない形状や埋葬のしかたを選ぶ人が増えています。お墓が多様になってきた一方、継承者がいなくなる無縁化の問題や、お墓を処分する「墓じまい」も問題となっています。

 都が今年3月に公表した予測によれば、都内の単独世帯は、2010年の292万世帯から、2035年には324万世帯になると見込まれており、この中にはお墓の承継者のいない世帯が相当数あると思われます。無縁化したお墓は改葬することができますが、都立霊園ではどのようにするのか。また、無縁とならないよう防止するにはどうすればよいのか、質問しました。

都では、現在の都立霊園使用者の中で継承者のいない人を対象に、一般墓地などから合葬式墓地への施設変更制度を設けています。その場合、合葬式墓地への使用料が免除され、既に埋蔵している遺骨に加えて、使用者本人とその配偶者も死後に利用することができるといい、2013年度は342人が利用しました。 

小平霊園の樹林地墓地は、承継者がいなくても都が管理してくれ、死後は自然に還ることができる墓地として、新規にお墓を求める都民にとって、たいへんな人気があります。2012年度は500体の募集に対して8,169体の応募があり、16.3倍の倍率となりました。

そこで2013年度は1,600体に募集数を増やしたところ、15,833体の応募があり、倍率は9.9倍。2014年度も10.6倍です。都民の人気はたいへん高い状況ですが、特に生前申込区分の倍率が飛びぬけています。小平霊園の合葬式は生前申込み区分で最高286倍、樹林墓地でも20倍近いという「狭き門」。生きているうちにお墓を確保しておきたい、ということだと思います。

それだけ必要度が高いということであり、このニーズはこれからもさらに高まっていくに違いありません。墓地は区市町村が設置できることになっているので、稲城市と府中市が共同して、2012年に「稲城府中墓苑組合」という一部事務組合を設立し、一般墓地や芝生墓地、樹林墓地も整備しています。

 このような取組が区部でも広がっていけばよいと思いますが、お墓は「迷惑施設」という固定観念に縛られて突破口が開かれずにいます。しかし、この稲城と府中の事例からも明らかなとおり、樹林墓地のような新たな形式のお墓が都民から求められているのは確かです。

 引き続き、都においても、小平霊園以外の他の都立霊園のも樹林墓地を整備することを要望しました。