カウンセラーを必要としている先生たち~文教委員会の質疑より①

東京都のスクールカウンセラー(SC)活用事業は、いじめや暴力行為など、児童・生徒の問題行動等の未然防止や解決に資することを主たる目的としておもに臨床心理士があてられ、配置拡大が進められています。しかしSCを必要としているのは子どもより教師のほうではないのか、というのが私の問題意識です。そこで文教委員会での事務事業質疑でとりあげました。

 SCは昨年度には小・中・高校の全校に配置されるようになりました。子ども、保護者や教員にとっても、学校に関する悩みや精神的なストレスが増え、「心の専門家」としてSCへの期待は高いものがあります。けれども都が配置しているのは週1回にすぎないため、相談事があってもすぐには対応できず、順番が来るまで待たされる、ということもおきています。

 そこで、小・中学校では都のSCのほかに、区市町村教育委員会が独自にSCを配置している場合があります。杉並区もそう。多くは勤務日が別で両者が同時に勤務することはなく、双方の情報共有が欠かせません。当然、都のSCと地域の教育委員会も必要ですが、現実はどうか。

 この質問に対し都教委は、都のSCと区市町村のSCは、学校管理職とともに記録ノート等を活用して情報を共有し、また都教委はSCと区市町村教育委員会の連携を推進するために支援を行っている、と答えています。

 SCはそもそもの導入当初より、いじめ、不登校や心の問題を抱えた子どもや保護者に対する相談・対応とともに、そういう児童生徒を指導する教員への助言・指導など、臨床心理学の専門性を発揮することが期待されてきました。

 そしてSC活用が定着してきた最近では、教員の対応力を向上させることや、子ども・保護者・教員をつなげる役割も求められるようになってきています。SCの望まれる機能が拡大しているといえます。SCには他の教員や他の機関とのコミュニケーションや情報共有、連携することなどが重要ということであり、都はSCや地域の教育委員会にも適切な支援を行ってほしいものです。

 昨年度、区が設置したSCに寄せられる相談実績を杉並区の場合で見ると、小学校の場合、子どもからの相談が約45%、教員39%、保護者が16%であり、中学校では子ども40%、教員43%、保護者19%と、教員対応の件数がいちばん多くなっています。

 同じことは都が設置したSCについても言え、SCの存在は子どもにとっての相談相手というよりも、「教員にとって有用であり意義がある」といえます。別の言い方をすると、子どもにとって学校で相談できる相手はSCだけでは不十分であり、さまざまな相談機関が必要だということです。

 子どもの問題を解決するには、スクールソーシャルワーカーがもっと活用されるべきだと、改めて思いました。