都立文化施設を障がい者にやさしい場に ~3月の文教委員会の予算審議より②
都は、策定中の東京文化ビジョンの素案で、文化戦略のひとつに「あらゆる人が芸術文化を享受できる社会基盤を構築」と掲げ、文化施設における障がい者への配慮について言及しています。
障がい者の芸術鑑賞を促すことは、当事者の社会参加のためにも文化振興のためにも重要です。都立の美術館や博物館では、身体障害者手帳や愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳などを提示した人やその付添者の観覧料を免除しています。このしくみについて、質問しました。
答弁によれば、2013年度は江戸東京博物館、江戸東京たてもの園、写真美術館、現代美術館、東京都美術館の5施設合わせて、14万人弱がこのしくみを利用し、合計入館者の約4%にあたります。庭園美術館はしばらく休館していたためこの合計に入っていませんでしたが、昨年リニューアルオープンしたことで、これから障がい者の来館が増えればいいなと思います。
施設のハード面でのバリアフリー化進めるのはもちろんですが、障がい者向け展示などの取組みを充実させていくべきです。都は、例えば江戸東京博物館では、日本橋や凌雲閣などの大型展示の縮小模型や、浮世絵の輪郭線を凹凸にした模型を展示して、視覚障がい者が作品を手で触れ感じることのできるコーナーを設けています。
現代美術館でも、聴覚障がい者が手話のできる案内者とともに展示室を巡り、手話、身ぶりなどでコミュニケーションをとりながら展示物を楽しむ体験型の事業が実施されたといいます。
アートセラピー(芸術療法)という言葉があります。芸術の創造活動による心身の治療ということであり、芸術には心身を健康にする力があるということです。また、芸術を鑑賞することにも、創作活動を促す効果が期待されます。
ただ、文化会館や芸術劇場などの音楽ホールでは、障がい者のための観覧料制度は設けられていません。音楽についても「音楽療法」という言葉があるように、障がい者に音楽鑑賞を促す、その機会を提供するような取組みを求めたいところです。
音楽公演の興行主には、企業の社会貢献事業を促す意味でも、料金設定で協力を得られるようなしくみ、あるいは都からの働きかけを要望しました。